WMS(倉庫管理システム)とは?|導入のメリット・デメリットを詳しく解説

在庫管理

WMS(倉庫管理システム)とは?導入のメリット・デメリットを詳しく解説

近年では物流需要が益々高まっており、物流現場においてはいかに物流業務の効率化を図り一日の目標件数を素早く処理できるかが重視されています。しかし、人の手で処理できる物量には限界があり、さらには労働力不足が深刻化していることによって十分な作業員を確保することも難しくなってきているのが現状です。

そこで注目されているのがWMS(倉庫管理システム)です。WMSが注目を集めている理由は、ITの力によってその課題が解決できることにあります。倉庫内をシステム化し庫内業務の効率化を図ることができれば、入荷や出荷、在庫管理の手間を大きく削減できるだけでなく、人的ミスの減少も期待できます。

また、輸配送管理システムなどと連携させることによって倉庫内のさらなる効率化を図れるほか、トラックドライバーの不足問題も改善できる可能性があります。

 

なぜWMSが必要なのか?

倉庫管理にはいくつかの問題点があります。

 

■作業工程が複雑で熟練が必要

■現場の状態とデータにラグがある

■在庫管理が困難

 

まず作業には慣れが必要なため、余計な人件費がかかりがちです。在庫の置いてある場所や検品の方法を確認するのに手間がかかり、その分多くの人を雇う必要があります。

 

また、現場の状態がデータに反映されるまでにタイムラグがあり、反映されるまではデータが不確かなため、現場へ確認に行かなくてはなりません。在庫の位置や場所、製造年月日や消費期限など、多くの情報を適切に管理するのは簡単ではありません。しかしWMS導入によって、これらの問題点は改善できるでしょう。

 

基幹システムや在庫管理システムとの違いとは?

基幹システムとは、「販売管理」「在庫管理」「会計」など企業がビジネスを遂行するために必須である業務を効率化ためのシステムです。 「基幹」という言葉が分かりづらくしていますが、受発注管理や販売管理、生産管理、在庫管理、会計業務を行うためのシステムと理解して良いでしょう。

 

在庫管理システムは、入出荷データや商品の賞味期限など在庫情報のみを管理するシステムです。実在庫の詳しいデータを管理できます。

 

上記2つのシステムの様に、WMSと似たシステムがありますが、何が違うのでしょうか。混同されがちな、TMSやWCSの違いと共に解説します。

 

【基幹システムとWMSの違い】

多くの企業では既に基幹システムを導入しています。では、なぜそのシステムで倉庫管理を行わないのでしょうか。答えは倉庫管理の方法は現場ごとに異なるためです。現場では、置き場所がないからと別の場所に置いたり、放置したりするケースもあります。また空きスペースに応じて、臨機応変に置き場所を変える場合もあるでしょう。

 

企業で統一された基幹システムでは、大まかな在庫管理しか行えず現場の状況を把握できません。そのため、倉庫管理には基幹システムよりもWMSが有用です。現場の情報をリアルタイムで把握でき、状況にあった判断を下せるようになります。

 

【在庫管理システムとWMSの違い】

WMSの機能には『在庫管理機能』が含まれます。ただしWMSは「倉庫内」の管理に限られており、倉庫内の在庫情報や人員の管理がメインです。一方、在庫管理システムは「倉庫外」を含めた在庫情報を管理します。在庫が入荷されてから出荷されるまでの在庫情報の管理に特化しています。

 

【TMSとWMSの違い】

TMSとは配送管理システムのことです。主に出荷後の配車管理や配送の時間管理を行えるシステムで、WMSとは管理の役割が異なります。ただし、どちらのシステムも物流にとって大切な役割を担います。

 

【WCS・WESとWMSの違い】

WCS(倉庫制御システム)とは、倉庫内にある機器や設備の制御を行うシステムです。それぞれの機器や設備を一括で管理できるので、稼働状況などをひと目で把握できます。

 

WES(倉庫運用管理システム)は、倉庫内の「人の管理」と「設備の管理」を行います。WESは、WMSとWCS両方の機能をもつシステムです。

 

システムによって特化している機能は異なるため、自社の課題を解決できるシステムを導入しましょう。

 

WMSの基本機能とは?

WMSには、入荷管理・在庫管理・出荷管理・棚卸し管理・帳票・ラベル発行などの庫内作業を効率化する機能が搭載されています。続いて、それぞれの機能について細かく説明していきます。

【入荷管理機能】

どの製品をどれくらい入荷するのかを把握することができます。

  • 入荷予定/実績
  • 入荷予定リスト
  • 返品入荷
  • ハンディ検品

入荷量は日によって変動しますが、これらの機能で素早く把握することが可能です。

 

【在庫管理機能】

倉庫内在庫のリアルタイムな情報を管理することができます。

  • 在庫照会
  • ロケーション移動
  • 在庫調整
  • 廃棄処理
  • 補充(定期・緊急)
  • 商品履歴
  • ハンディ移動

商品コード・商品名などによるロット管理やSKU(在庫保管単位)管理も可能です。

 

【出荷管理機能】

出荷管理の一連の作業に対応しています。

  • 出荷予定/実績機能
  • 引当
  • 引き戻し
  • ピッキングリスト
  • 配分リスト
  • 仕入先返品
  • ハンディ検品
  • 梱包

出荷はミスがあると納品先からクレームを受けることもあります。これらの機能を活用してミスを減らしましょう。

 

【棚卸管理機能】

棚卸作業の情報を管理することで、棚卸業務を効率化することができます。

  • 棚卸指示
  • 棚卸実績
  • 棚卸差異リスト
  • 棚卸報告
  • ハンディ棚卸

棚卸は倉庫の規模によっては非常に人手が必要になる作業です。システムを活用して省力化しましょう。

 

【帳票・ラベル発行機能】

簡単に帳票の発行やラベルごとの作成ができるため、入力作業に時間をとられることはありません

  • 納品書発行
  • 梱包明細書発行
  • 送り状発行
  • 荷札発行
  • 値札発行

帳票やラベルは作業を進める上で必要な道具です。作業が滞らないように発行はシステムに任せましょう。

 

WMSを導入するメリットとは?

次にWMS導入のメリットを5つ紹介します。

 

【人為的ミスを減らす】

倉庫業務は単調な作業になる場合も多いため、慣れると注意力が散漫になりがちです。目視でデータを入力していれば間違いも起こるでしょう。そこでラベルで管理しスキャナでの読み取りにすれば、人為的入力ミスを防止できます。また何か間違いが生じたときにはシステムが警告して知らせてくれるため、ミスを見逃すリスクも軽減できます。

 

【煩雑な業務を効率化・標準化する】

商品の在庫数は入荷・出荷で常に変動し続けますが、返品等のイレギュラーな変動も多々発生します。返品が発生した際の対応は、出荷履歴や在庫数の修正など煩雑になりがちです。しかしWMSの返品管理機能を活用すれば、短時間での対応が可能になり人手も減らせるでしょう。

 

また、未経験の人でもルールに従えば一定の水準で作業できるようになります。結果として、アルバイトやパートを戦力化でき、人材の育成にかける時間も短縮できるでしょう。

 

【情報をリアルタイムで可視化する】

WMSは、連携すればほかの倉庫や取引先との情報共有も可能です。つまり、より広い視野で状況を把握できます。全体を見通せることで、より適切な状況判断が下せるでしょう。

 

また、倉庫内の商品の動きをリアルタイムで把握できます。もしタイムラグがあるとデータ上の在庫数と実際の在庫数が異なり、不適切な発注をする可能性があります。リアルタイムな監視によりミスを防ぎ、適切で迅速な判断ができるでしょう。

 

【倉庫内のロケーション管理が容易で、省スペース化する】

倉庫内のロケーションを変更するとき、従来は大きな手間がかかりました。特にピッキングの際に、スタッフが新しい場所を把握できずに時間を無駄にしたり、登録データの修正にも時間を要したりしました。

 

しかしWMSがあればロケーション変更はすぐに反映されます。ピッキングリストに記載される商品の位置にも反映されるため、倉庫内を探し回る時間の無駄も削減できます。

 

【コストを抑えられる】

まず、人を介した作業や手間を削減できるため、人員を減らせます。また作業を標準化できるため、アルバイトやパートも大きな戦力となるでしょう。結果、人件費の削減につながります。

 

WMSを導入するデメリットとは?

WMSにはデメリットもあります。導入後に後悔しないよう、予め確認しておきましょう。

 

【導入目的が曖昧だと期待した効果が得られないリスクがある】

システムの導入目的を明確にしましょう。WMSにはさまざまなメリットがありますが、必要な機能や期待する効果は企業ごとに異なります。

 

目的が不明瞭なまま導入すると、機能性が十分でないシステムを選んだり、効果が得られなかったりする恐れがあります。

 

【導入自体にコストと手間がかかる】

WMSの導入で、物流作業のコストと手間を削減できます。しかし、システムの導入に伴って新たな手間も生じます。

 

自社運用型は設備の導入にコストがかかり、使用者の教育にも費用と時間が必要になるでしょう。使いこなせれば後に取り返せるコストではありますが、導入前に把握する必要があります。

 

初めてのシステム導入ならクラウド管理システムがお勧め

近年はクラウド型がトレンドです。クラウド型サービスは、インターネットを介してクラウド上のサービスを利用する仕組みのことです。多くの業務支援システムのクラウド化が進んでいます。

 

しかし、クラウド型システムが自社の業務に最適かどうかは十分な検討が必要です。ここからは、クラウド型システムのメリットをご紹介します。クラウド型のメリットを把握し、最適な選択肢になるかしっかりと確認しておきましょう。

 

【低コストで導入できる】

自社拠点内やデータセンターにシステムを構築するオンプレミス型と比較したとき、クラウド型は低コストでシステムを運用しやすい特徴があります。オンプレミス型で在庫管理システムを運用する際には、システム開発費用やサーバー構築に約数十万~数百万のコストがかかります。

 

一方で、クラウド型は、比較的低コストでシステムを利用することが可能です。また、クラウド上のシステムは基本的にサービス事業者によってメンテナンスが行われます。従って、クラウド型システムにはオンプレミス型のシステムで必要な保守運用にかかる費用は必要ありません。

 

【インターネット環境さえあれば利用できる】

クラウド型システムは、インターネットに接続できる環境があれば使用することが出来ます。例えば、場所を問わず在庫状況を把握したり共有したりできます。クラウド上の管理システムにログインするだけで在庫状況を時間・場所を選ばずに把握することでできます。クラウド型は本社と倉庫の距離が離れている場合の運用はもちろん、繁忙期に臨時で拠点を増強した場合など、さまざまな利用シーンに柔軟に対応可能です。

また、クラウド型は仕入先の在庫を確認したいという要望にもスムーズに対応できます。仕入先側にクラウドサービスにアクセスしてもらい、在庫状況を直接確認してもらうことも可能です。仕入先と国内外問わず、工場や倉庫の在庫情報を簡単に共有可能にするのは、インターネットを利用したクラウド型だからこそできるメリットです。

クラウド型の管理システムの導入を検討してみましょう

適切な倉庫管理を行うことは企業の利益を生み出すことに繋がりますが、全てを手作業で行うには限界があります。倉庫管理システムを導入することで、業務を効率化して予測を立てる事が可能となり、コストの削減に繋がります。

 

倉庫管理システムを検討するときには、今回着目したクラウド型のように提供形態で選ぶ以外にも、業界に特化した機能や自社の業務にマッチした機能が搭載されているかなど、さまざまな視点で製品を選ぶ必要があります。

 

最近はクラウドベースのサービスが増えており、初期費用や毎月の利用料金も非常に安価になっています。また、多くの在庫管理ソフトが無料版や無料トライアル期間を用意していますので、まず無料で試した後、自社に向いていると判断できたら有料版にアップデートするというのもよいでしょう。

クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、わかりやすい画面と手厚いサポートで、システムが初めても企業でも使いやすくわかりやすいのが特徴です。

また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。

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