システムブラックボックス化には標準化が効く

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システムブラックボックス化には標準化が効く|心理障壁を砕くには?

ブラックボックス化したシステムに困った経験はありませんか?システム化は、誰でも同じ結果を導き出せるような手法や仕組みを体系づけ、業務を効率化させる方法です。

しかし、ブラックボックス化したシステムは、リスクを増してしまいます。システムのブラックボックス化を防ぐには業務の標準化が効果的です。それでもブラックボックス化が防げないのであれば、それには担当者の心理が影響しているのかもしれません。

この記事ではシステムのブラックボックス化に効く標準化の方法と心理障壁をつくる心理と、その障壁を砕く方法をご紹介します。

システム化とは

世界は複雑にものごとが絡んでいるように見えますが、ひとつひとつはシンプルな構造をしている場合が多いものです。

複雑な工程を誰もが理解できるように記号化し、手法を見える化することを「システム化」といいます。

「システム化」は、誰でも同じ結果を導き出せるような手法や仕組みの体系づけです。システム化された職場は、あるレベル以上教育された人であれば、同じ結果を生み出すことができます。

たとえば、マクドナルドのハンバーガーチェーンなどを想像するとわかりやすいかもしれません。高度なシステム化によって、同じサービス、同じ製品を提供する体制を作り上げ、私たちは日本のどこに行っても「マクドナルドのハンバーガー」という均質な製品を手にできます。

システム化の特徴は、①わかりやすい、②理論的に考えられる、②検証可能なことです。ムラやムダという要素は極力減らされ、コスト削減も実現可能になります。

近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)技術により、システム化は高度化し、いっそう波及しています。

システムのブラックボックス化とは

ブラックボックス とは、中の仕組みがわからなくでも、表面的な使い方だけわかれば使える装置をあらわす概念です。

テレビやエアコンなど、ユーザーにとっては多くの家電がブラックボックス化しています。

しかし職場では「システムのブラックボックス化」は、システムが崩壊するリスクをはらんだ問題です。

システムのブラックボックス化はシステムの良さを妨害する

システムのブラックボックス化は、システムの良さを妨害します。①わかりやすい②理論的に考えられる②検証可能というシステムの良さが発揮されません。システムの不具合の原因がわからず、理論は通らず、検証がきかなくなります。こうなると効率は低下し、コストも必要以上にかかってしまいます。

ブラックボックス化したシステムは逆にお荷物になってしまうのです。

 

システムのブラックボックス化を防ぐ標準化とは

標準化とは

標準とは、人間と人間が情報を共有するてがかりになるものです。

たとえば、言語は標準化された最たるものです。同じ言葉を使う人々は標準化した言語でコミュニケーションを行っています。案内板に書かれた言葉の意味は、皆に同じように伝わるのです。

このように、人間と人間が情報を共有できるツールを作成することを標準化と言います。特に産業の場面でおこなわれる標準化のことを「業務標準化」と呼びます。

 

業務標準化とシステム化の関係

業務標準化は、その業務をいつでもだれでも同じ工程を経て、無駄なく最短の時間でおこなうために実施するものです。

業務標準化はシステム化された業務を、抜けや無駄のない工程を経て結果を出すために共通言語として使われるツールということになります。

システムのブラックボックス化対策として、標準化はとても有効です。

 

業務標準化の利点

システムを業務標準化すれば、作業手順にばらつきがなくなり、人による誤差が最小限になります。システムのブラックボックス化も防げ、企業の生産性を高める事ができます。

また教育の際にも、職人技などのような揺らぎのあるコツではなく、客観的な指標を使うので混乱せず作業がしやすいという利点を持ちます。

例えば、職人が作るチャーハン店では、当然美味しいチャーハンを食べられます。しかし、作り方が職人の裁量に任されているのであれば、そのシステムはブラックボックス化してしまっています。もし、その職人が事故に遭ったり病気になったりすれば、たちまち味が落ちてしまうでしょう。

でも、標準化がおこなわれればどうでしょう。職人がシステム化したチャーハンの作成工程をブラックボックス化せず、材料の種類、切り方、具の配合、コメの炊き具合などを、加熱量を明確にし、それを反映して難しい工程は自動化のうえ手順を標準化しておけば、職人が休暇を取っても美味しいチャーハンを作り続けられます。そのうえ、短期間の研修で同様のレベルのチャーハンをつくる職人を育てられ、支店をだすことも可能になるでしょう。

標準化は利益を安定させ、経営危機のリスクを下げるのです。

 

業務標準化の手順

業務標準化をするためには、そもそもの業務をシステム化する必要があります。

いわゆるコンピューターシステムは一般的に業務のシステム化は既にできています。

それだけでなく人間が動かす業務についても、書類の作成や、トラブル報告などはシステム化が有効な分野です。

まず業務が複雑なものは、その業務を簡単な流れに分類し、それぞれをシステム化するのがわかりやすいでしょう。

複雑な作業も、細かく分ければシンプルになります。シンプルであれば、システム化しやすくなります。

そして、システム化した業務について手順を定め、標準化していくのが効率の良いやり方です。

そして、どの業務から標準化していくかの優先順位を決める方法が一般的ですが、具体的には、

  1. 誰か特定の人が休暇をとると困る業務
  2. 交代でする業務
  3. 新人に任されやすい業務

 

を、優先して標準化をおこなうと、標準化の恩恵を受けやすく定着しやすいでしょう。

 

標準化を進めてもシステムがブラックボックス化する職場が存在する

このようにシステム化し標準化すれば業務が効率化するはずなのですが、それでもシステムがブラックボックス化してしまう職場があります。

ブラックボックス化に至る3大要因とは

では、それでもブラックボックス化する要因はなんでしょうか?システムを部屋に見立ててみましょう。

  • 複数で使うものはわかりやすく置くようになる(ブラックボックス化しない)
  • お客様の多い家は片づく(ブラックボックス化しない)
  • ひとりしか使わない部屋は乱雑になりがち(ブラックボックス化する)

つまり、他の人が触れなくなるとブラックボックス化が進むのです。そして、一度ブラックボックス化した部屋には誰も入れたくなくなる=ブラックボックス化したシステムは誰にも触らせたくないという心理が働き、より一層ブラックボックス化がすすんでしまいがちです。

業務において、これはリスキーです。そして、人の気持ちが大きくかかわってくるので注意をして取り扱わなければならない案件になります。

 

任せきりにしてしまう3大要因とは?

業務の任せきりはブラックボックス化の温床です。その要因は3つあります。任せきりが進むと、システムのブラックボックス化どころか、気がつけば業務上横領などの事件にもなりかねません。

どの企業にも案外任せきりの仕事があるものです。専任担当者に、何かある前に標準化し、責任を分散し業務の適正化を進めましょう。

 

  • 仕事の囲い込み

他の人に、業務をやらせない。

私の方が詳しいからと、仕事を取ってしまう。

他の人が、その業務をしているとミスを探しあげつらう。

 

  • 行き過ぎた専任化

○○は誰々さんと任せきりにしてしまう。

担当者が、みんなのお母さん化してしまい、なんでもその人に聞けばいいという風潮になっている。

 

  • 学ぼうとしない姿勢

難しそうなことは、手を出したくない。

新しい業務をするのは面倒

困った時は○○さんを呼べばいいと思っている。

 

システムをブラックボックス化する心理とは

システムをブラックボックス化する心理はどんなものでしょうか。いくつかあげてみましょう。多かれ少なかれ、人間の心にはブラックボックス化する心理の芽があります。

 

失敗をおそれすぎる

失敗すると笑われると思っている。

プライドが高く失敗をすることを恥だと思っている。

 

他人の目が気になる

他の人が自分のことをどう思っているのか気になって行動できない。

いつも良い面をみせて過ごしていたい。

 

目先のことにこだわり長期的視点がもてない

他人に業務を教えると自分の価値がなくなると思っている

自分が病気をした場合、トラブルがあった場合について予想していない。

 

変化を嫌う

不満があるが変わったことは不安。

新しい人に仕事を教えれば、何があるかわからないから嫌。

 

自分の領分を確保しようとする

この仕事があるから私は大切にされている。

これは私の仕事。他の人には渡せない。

 

自分を否定的にとらえやすい

他の人に私の仕事を教えるのは、私を信用していないからだ。

ミスを指摘されると、私の存在を否定されているような気持ちになる。

 

他人を信じられない

いつも誰かが私を陥れようとしている。

ミスをしたら、私のせいにされる。

 

劣等感を感じている

実は私は仕事ができないことがばれてしまう。

効率化は、私がいなくなればいいと思っているからだ。

 

自分を守りたい

いざという時、だれも味方になってくれないと思う。

業務を教えると間違いを指摘されそう。

 

自分の持っていないものを人が持っていることを妬む

あの若い子にこの業務を渡すのは、あの子が可愛くてひいきされているからだ。

あの人はエリートだから、私の仕事を非難するだろう。

 

システムブラックボックス化への心理障壁を砕くためには

実は、心理的にこじれる場合、システムブラックボックス化の根本的原因は、自己肯定感の低さにあります。彼らは自分に自信がなく、頑張っている仕事を否定されることをおそれています。ですから「この業務は必要ない」、「効率化できていないからダメ」など担当者のプライドを傷つける言動は厳禁です。

システムをブラックボックス化しないためには、まずは日頃の業務への感謝を伝え、歯車でなく個人の価値を認めていることを知ってもらい業務を明らかにしても非難されないと知ってもらうことです。

そして、業務をシステム化したり、標準化して教育したりするなど業務の見える化によって、全体の評価が高まるという視点を理解してもらうのです。

ブラックボックス化している業務は、担当者にとっては目先では居心地の良い場合も多いものです。しかし、ブラックボックス化には問題があることに目を向けさせ、一緒に解消する姿勢をとると、やりがいや自己肯定感とともに障壁は砕けるでしょう。

また、コンピューターシステムを選定するときは、誰にでも手が出しやすいシステムを選ぶことも大切です。業態によって専用のシステムもあります。

コンピューターシステムを導入するときには、みんなが使えるか自社の業態にあっているかにも注意しましょう。

 

まとめ

システム化は、誰でも同じ結果を導き出せるような手法や仕組みの体系づけです。を言います。システム化された職場は、あるレベル以上教育された人であれば、同じ結果を生み出すことができます。

しかし、システムがブラックボックス化する場合があります。それにはシステム化した業務の標準化が効果的です。それでもブラックボックス化が防げないのであれば、担当者の心理障壁が影響しているのかもしれません。自己肯定感を保証してあげて、うまく対応し、障壁を砕いていきましょう。

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