図面管理システムが製造業で果たす3つの役割と導入への10のポイント

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図面管理システムが製造業で果たす3つの役割と導入への10のポイント

製造業で図面管理システムを導入する企業が増えています。
効率化だけでなく、3つの役割を果たすことができる図面管理システム。ポイントをおさえて、より使いやすい形で導入しましょう。

この記事では、図面管理システムの果たす役割と導入時におさえたい10のポイントをご紹介します。

製造業で図面管理システムの導入実績が増えている

図面管理システムは、作成された図面を系統的に管理できます。製造業において、図面は建物だけでなく製品にも必要です。それらは業務の根幹となる重要な情報であり、意匠変更や設備変更のたびに更新されます。

従来、図面は担当者がしまいこんでいたり、保管場所が周知されていなかったりと、業務に支障をきたす事例もありました。

そこで、情報を共有化し、業務をスムーズに行うため図面管理システムを導入する企業が増えています。

図面管理システムでは、図面そのもののデータだけでなく、仕様書、作業手順書、検査書類なども一元的に管理することができます。

 

図面管理システムの必要性

製造業では図面管理の必要性が増しています。図面管理システムを使えば、紙ベースでの保存にくらべて、確実性が増し、効率的な作業がおこなえます。

製造物責任(PL)法では、製造物を引き渡した時から10年間は損害賠償請求できます。販売後10年は製品の図面を保管しなければ、損害賠償請求への論理的根拠が明確化できません。

また、ニーズの多様化が進み、それに合わせてデザイン自体が増えています。時代の流れにそって開発期間が短くなっていますし、ひとつの製品の販売期間も短縮傾向にあります。そうなれば、図面は多くなる一方です。

図面管理システムの導入が進んでいるのは、図面の数が増え、管理が難しくなっていることのあらわれでしょう。

 

図面管理システムが製造業で果たす3つの役割

製造業で、図面管理システムの果たす役割は、履歴保管・版管理、情報の共有、責任の明確化の3つです。これらの役割について、概要をご紹介します。

 

履歴保管・版管理

製品や機械設備、建築内容を変更する際には、図面が更新されます。図面には更新ごとに名前がつけられ、これを版として管理します。間違って旧版の図面を使えば、廃棄しなければなりません。

また、クライアントごとに細かい仕様がある場合には情報が混乱しがちですが、内容を分類し明確化すれば、ミスが減ります。

 

情報の共有

図面は、必要な範囲で共有化すべきです。しかし、以前は本人には悪気がなくても、個人的に保管されてしまい共有できない場合も多くありました。どこに保管されている版が最新版なのかわからなくなることも起きていたのです。

図面管理システムであれば、保管する場所は明確化され、情報が共有されます。アクセスするのも簡単です。

また、設備の大幅改築などでは複数人で作業を分担しています。その設備数や設計に関わる人数が多いほど、情報の共有化の利点は大きくなります。

 

責任の明確化

図面管理システムであれば、その図面を確認した人が目視で明確化されます。そのことで、責任体制がハッキリし、仕事がしやすくなります。

 

製造業で使用される図面とは

一言で図面といっても、製造業で扱う図面は多岐にわたります。

図面管理システムを導入する際には、管理したい図面の確認工程が必要です。参考に製造業で一般的に作成される図面をご紹介します。

これらの図面は、完成したものだけでなく、検討段階作られる「検討用図面」もあります。

システム選定の際には、自工場で管理したい図面の種類と、完成前や更新にともなう版数をもとに、将来的に管理したい図面の数を想定してみましょう。

 

製品図面

製品図面には、完成図面とそれらを構成するパーツの図面が含まれます。

食品や飲料など形が決まらないものであっても、包装容器や、缶や瓶、段ボールケースなどは、図面管理が必要です。それぞれの、形状や刷色の変更によって、図面が更新されます。これらは、通常、番号や略号で管理されており、長さや重さなどの管理指標の適正範囲などについても書き込まれています。

 

設備図面

製造及び製造に関係するすべての設備について、図面が必要です。

構成部品の品番についても記入され、設備の性能をあらわすとともに、修理や部品交換の際に活躍します。

 

建築図面

建築図面は、平面図、立面図、断面図、透視図、等速投影図などに分けられます。建築の際に必要なのはもちろんですが、その中で行われるすべての作業の基礎となる図面です。また、増築や改築の際には、元となります。

 

その他図面

製造業では、建築図面に、他の要素を盛り込み複合的な図面を作成することも多いものです。例えば、製造工程やゾーニング、ユーティリティの配置、人やモノの動線などを書き込んだ図面は、複雑になりがちな情報を見える化をしてくれます。

また設置場所や作業ごとにも図面が必要です。消火器の位置や作業環境測定、高い清浄度を要求される製品では、塵埃数や空中浮遊菌などの環境試験のポイントを記入した図面なども作成されています。

 

 

図面管理システムを導入する10のポイント

図面管理システムを導入する際に必要なポイントを知っていれば、よりスムーズな活用が可能になります。

 

①    管理する図面は何かを考えておく

まず、管理の必要な図面を把握しましょう。個人で調査するのには限界があり、時間もかかります。各工程に管理している図面をあげてもらうと、抜けが少なくてすみます。

 

②    必要な機能は何かを考えておく

図面管理システムで何がしたいでしょうか?いくつかカタログで図面管理システムの機能を確認し、自社で必要な機能、使いそうにもない機能を考えておきましょう。

 

③    関連するシステムを連携させる

図面管理システムだけでなく、製造業ではシステム化が進んでいます。納期管理、在庫管理、工程管理、物流管理など、それぞれシステム化しようと思うのであれば、互いに連携した方が便利です。

違うメーカーのシステムでも連携可能なものがあります。現有システムがある場合、選定時には、連携が可能か確認してみるといいでしょう。

製造業なら、一括して生産管理システムというかたちで提供されていれば、いっそう便利です。例えば、生産管理システム鉄人くんでは、生産管理の中に図面管理をはじめとして、納期管理や在庫管理システムが組み込まれています。

 

④    フォルダ管理をMICEにする

MICEは、論理的に重複なく、漏れのない状態を示す言葉です。元の単語と意味は以下のようになります。

・Mutually:相互に

・Exclusive:他にない状態で

・Collectively:まとめて

・Exhaustive:網羅されている状態

 

一般に、「漏れなく、ダブりなく」といわれます。フォルダ管理は、システム内に棚や箱をつくる作業です。

フォルダ名をMICEにしなければ、同じ属性のファイルが違うフォルダに入ってしまい、作業者がシステム内で迷ってしまいます。

また、迷いが生じない客観的な名前にしなければなりません。時間の経過にともなって属性が変化してしまう「最新」「担当○○」などは避けた方が無難です。自社内で分かりやすくMICEになる名前をつけましょう。

 

⑤    ファイル名のルールをつくる

フォルダ名と同様に、客観的で他にない名前をつけましょう。例えば、わかりやすい名称と日付や時間を組み合わせる方法が一般的にとられています。

ファイル名の付加ルールを決定したら、日付はメーカーの作成日なのか受領日にするかなど、詳細について周知することも大切です。

 

⑥    紙媒体はデータ化する

紙媒体の図面がある場合は、スキャナなどを用いてデータ化しましょう。PDFやCADデータに変換するのが一般的です。

紙媒体は廃棄せず、一元管理をおすすめします。

 

⑦    関係者がアクセスしやすい状態にする

製造業には、放射線を使うため場所が区切られていたり、クリーン度を高くするために、入室制限がおこなわれたりすることもあります。図面のデータを管理するために、いちいち入退室をするのは現実的でありません。

各工程で、確認できるようにクラウドにデータを置くと、スピードアップが図れるでしょう。

 

⑧    セキュリティ対策を厳重にする

クラウドでデータを共有する際に、必須なのがセキュリティ対策です。コンピューターウイルスなどの対策は、厳重に行いましょう。クラウド型のシステムメーカーであれば、専門のエンジニアによるセキュリティ対策も実施してくれます。

 

⑨    内部へのセキュリティ対策も実施する

セキュリティ対策は外部からの攻撃に備えるものだと思っていませんか?現在、内部からのデータ流出も社会問題化しています。

内部のセキュリティ対策は、個人ごとにパスワード管理をおこない、職務権限に応じてファイルに閲覧制限をかける方法が一般的です。

 

⑩    バックアップをとる

もしものために、バックアップも必要です。クラウド型のシステムなら、システムメーカー側でバックアップを取ってくれます。もし工場が災害に巻き込まれ、全壊したとしてもデータは無事に保護されています。

 

図面管理は無料で始められるが、おすすめはクラウド型システム

図面管理は、無料でもできます。フォルダ管理やファイル名のつけ方のルール化を厳密にしたり、随時複数の担当者が更新したりすれば、フォルダ管理のみでも、ある程度の成果は得られるでしょう。

しかし、抜けや間違いの発生頻度が高く、完全には管理できないことが多いようです。

 

また、インターネット上には、無料で提供されているシステムや無料トライアル付きの有料システムもあります。無料版では長期間の使用は難しい面がありますが、図面管理システムを知り、必要性を模索する目的には、役に立つでしょう。

無料でなくても、導入費用の安いクラウド型の図面管理システムなら、充実した内容で初期費用がおさえられるので、おすすめです。

 

自社にあった図面管理システムで、効率化をすすめよう

図面管理システムで、図面を効率的に管理することができます。また、履歴保管・版管理、情報の共有、責任の明確化という3つの役割も期待できます。

図面管理システムを導入するなら、導入前には、管理する図面を把握し、関連するシステムを連携させるなど10つのコツを覚えておきましょう。導入費用の安いクラウド型のシステムなら気軽に始められます。

例えば、製造業専門の生産管理システム「鉄人くん」は、クラウド型で初期費用も比較的かかりません。専門のエンジニアによるセキュリティ対策も実施されています。わかりやすい画面と手厚いサポートで、システムが初めても企業でも使いやすくわかりやすいのが特徴です。

図面管理システムの導入を検討しているのであれば、鉄人くんも選択肢に加えることをおすすめします。

また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。

 

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